カッティングステッカーとは
文字やイラストの形にフィルムがカットされています
カッティングステッカーとは色付きのフィルムが文字やイラストの形にカットされているステッカーです(図1)。文字やイラストの形にカットされたフィルムが離型紙(裏紙)の上にのっています。
アプリケーションシートにうつしとって貼り付けます
カッティングステッカーはフィルムが文字やイラストの形にカットされています。そのままだと文字なら一画ずつ離型紙から剥がして貼っていかねばなりません。配置を変えずに貼ろうとするとすごく手間がかかります。その手間を省略するため、アプリケーションシート(以下、APと略します)と呼ぶシートを全体にかけてあります(図2)。貼り付ける際は、APに文字やイラストをうつしとって貼り付け(図3〜5)、貼り付けたあとにAPを剥がすと(図6)、貼り付け面に直接描(書)いたようなスッキリした仕上がりになります(図7)。
貼り付け面に直接書(描)いたようにスッキリ仕上がります
白のフィルムに印刷したステッカー(プリントステッカー等)だと、文字やイラストの周りに白地がありますが、カッティングステッカーなら不要なフィルムがありません。透明でもなく「ない」のです。車のボディや機械の筐体等、貼り付け面に直接書いたようなスッキリとした仕上がりになります。
大判の色付きのフィルムをカットして作成します
カッティングステッカーは、マーキングフィルムと呼ぶ大判のフィルムをカットして作成します。マーキングフィルムははじめから色がついています。幅1m前後、長さ10〜20m程度でロール状になっていて、「原反」という言い方もします。
この原反を「カッティングマシン」にセットして、パソコンからカット用のデータを送ると、カッティングマシンが裏紙は切らずにフィルムだけを文字やイラストの形にカットしてくれます。
カット後、不要なフィルムを取り除き(ウィード)、APをかけて、1枚ごとに断裁して完成です。
特徴・留意点
1.スッキリした仕上がり
カッティングステッカーの一番の特徴は「スッキリした仕上がり」です。
プリントステッカー(断裁)等のように文字やイラストの周りに不要なフィルムがないのでスッキリ仕上がります。
2.価格は高め
カッティングマシンでカットしただけだとフィルムに文字やイラストの形に切れ目が入っている状態です。不要なフィルムを取り除くと文字やイラストが姿をあらわします。この作業を「ウィード(weed;草刈り)」と呼びます。
この「ウィード」という作業があるため、カッティングステッカーの価格は高めになります。
3.色はフィルムメーカーの色見本帳から選択
カッティングステッカーは色付きのフィルムをカットして作成します。色付きのフィルムは、フィルムメーカー数社が製造しており、各社、フィルムの色見本帳(カタログ)を出しておりますので、その中から選択することになります。
4.鮮やかな色もあります。
また、カッティングステッカー用のフィルムは色素(顔料)を塩ビにまぜて製造します。オレンジの原色や緑の原色の色素を使った、鮮やかなオレンジや緑等のフィルムもあります。
5.フィルムの色見本帳以外の特色も対応可能
フィルムメーカー各社は、フィルムの色見本帳の汎用色のほか、特色にも対応しますが、約1m幅で数百メートルからになります。弊社では特色インクを全面に塗布したフィルムの調達が可能で、こちらは10mから対応いたします。インクジェットプリンタでは出せない鮮やかな特色も対応可能です。
また、インクジェットプリンタで出力できる色であれば、インクジェットプリンタで色合わせを行います。1mからの対応が可能です。
こんな用途でお使いください
ロゴマークのステッカー
ロゴマークは会社のイメージを表現します。ぜひ、カッティングステッカーでスッキリと仕上げてください。
多色になる場合やグラデーションが入る場合は、印刷してからカットするプリントステッカー(形状カット)をご検討ください。
車両への会社名等の文字入れ用のステッカー
いわゆる「車のカンバン」です。車両に会社のロゴマークや会社名、電話番号、取扱商品等を書き入れる場合もカッティングステッカーをご利用ください。「看板商品」「看板娘」「金看板」などのことばが示すように、「カンバン」はいわば会社の「顔」です。カッティングステッカーでぜひスッキリと仕上げてください。
ナンバリング
工場の機械設備や倉庫の棚等にナンバーをふる場合や、飲食店等の席に番号を表示する場合等も、カッティングステッカーが利用できます。
オフィスや工場、店舗で
工場の機械設備の名称や倉庫の棚に番地や収納物等の文字の記入、あるいはオフィスで部屋の名称をドアに記入する場合もカッティングステッカーならスッキリした仕上がりになります。
使用材料
大判の色付きのフィルムから作成します。
カッティングステッカーの材料は、マーキングフィルムと呼ぶ大判の色付きのフィルムから作成します。フィルムの大きさは幅1m前後、長さ10〜20m程度でロール状になっていて、「原反」という言い方もします。
色付きのフィルムはフィルムメーカー数社が製造しており、各メーカーの汎用色を合わせると数百色あります。白や黒もありますし、メタリックやミラー調もあります。
汎用フィルムで5種類ご用意
カッティング用の汎用フィルムで次の5種類をご用意。特にご指示がなければ、ミドルクラスでお作りします。ご希望の色がなければハイグレードやエコノミーを使用する場合もあります。
下表の詳細は材料をご覧ください。
耐候性 | 接着力 | 寸法安定性 | 色数 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
トップクラス | 屋外約8年 | 強粘着 | ◯ | 約200色 | 防汚コーティング |
ミドルクラス | 屋外5〜7年 | 強粘着 | △ | 約700色 | |
エコノミー | 屋外約5年 | 強粘着 | ▲ | 約500色 | |
短期・室内用 | 屋外3年以下 | 弱〜強 | ▲ | 約250色 | |
再剥離 | 屋外約3年 | 弱粘着 | ▲ | 10色 | 再剥離性は2年 |
こんな材料もあります。
もう少し詳しく
作成には「アウトラインデータ」が必要です。
「カッティングマシン」がフィルムを文字やイラストの形に切っていきますが、そのためには「どこをどのように切るか」という指示をパソコンからカッティングマシンに送る必要があります。この「どこをどのように切るか」という指示になるデータを「アウトラインデータ」 あるいは「ベクトルデータ」と呼びます。
画像データの一種ですが、写真等のビットマップデータ(jpgやtiff、raw)とは種類の異なるデータです。
アウトラインデータがない場合、「トレース」という作業が必要になります
手書きの原稿や、名刺・封筒等の印刷物等の場合、スキャニングしてからカットさせる輪郭をラインをパソコン上でなぞる必要があります。この作業を「トレース」とよびます。
手書き原稿や印刷物をスキャニングしただけでは写真等のビットマップデータです。そこから色の違いを手がかりに自動でアウトラインデータを生成する機能もソフトウェアにはありますが、正確とはいえません。パンフレット等に小さく印刷するならアラはでませんが、カッティングステッカーをそこそこの大きさで作成するに耐える精度はまだありません。
人間の目で見ながら、「あるべきライン」を、時には想像しながら追いかけるという作業が必要になります。
アウトラインデータがない場合は「トレース代」が初期費用として発生します。一度「データを起こして(こういう言い方をします)」しまえば、サイズの変更や単純な色の変更等には費用をいただいておりません(指定色に変更の場合は費用がかかります)。