プリントステッカー(断裁)とは
文字やイラストをフィルムに印刷後、四角に断裁
プリントステッカー(断裁)とは、文字やイラストをフィルムに印刷後、四角に断裁しただけのステッカーです。プリントステッカー(形状カット)は、印刷後にフィルムを様々な形にカットしてから断裁しますが、プリントステッカー(断裁)は、印刷後、フィルムのカットはせずに断裁します。
ステッカーの端が断裁面となり、フィルムと離型紙が同じ大きさのため、離型紙の剥がし始めに手間取る場合があります。大量のステッカーを貼り付ける場合は不向きです。
大判のインクジェットプリンターで印刷します
印刷は大判のインクジェットプリンターを用います。家庭用のものと基本は同じですが、大きさとインクが違います。プリンタの大きさは右の写真から想像いただけるかと思います。出力の最大幅は1300mm程度、長さは10m超も可能です。
通常はラミネートフィルムで保護します
インクは屋外耐候性・耐水性は有するものの、擦過性や耐薬品性はあまりありません。フィルムに印刷しただけですと、貼り付け時にこすれてインクが剥がれたり、貼ってから汚れを落とすのにアルコールを使ったりするとインクが溶け出したりします。通常は印刷してから透明のラミネートフィルムをかけて印刷面を保護します。
また、ラミネートフィルムにはUV(紫外線)カット材を配合している「UVカットラミ」もあります。「UVカットラミ」であれば紫外線をカットしますので、屋外耐候性がアップします。ラミなしだと目立った色あせが生じるまで3年程度ですが、UVカットラミをかければ5年程度に延びます。
角R付きや円形の「プリントステッカー(形状カット)」等もあります。
プリントしてから、角Rをつける(角を丸くする)場合や、円形にカットする場合は、「輪郭カットステッカー」として扱っています。形は自由で、イラストや文字の形にカットすることもできます。
また、数枚のステッカーを切り離さずにシート状に並べた「ステッカーシート」とすることもできます。
他のステッカーへのリンク
弊社でのステッカーの分類の概要を掲げます。各々のページにリンクしています。
- 1.カッティング系
- 1-1.カッティングステッカー
- 色付きのフィルムをカット
- 2.プリント系 総称して「プリント系のステッカー」
特徴・留意点
裏紙から剥がして「貼る」だけです。
いわゆる「シール」と同じように、裏紙からステッカーを剥がして「貼る」だけです。
カッティングステッカー等ですと、AP(アプリケーションシート)に写しとりながら裏紙から剥がし、貼ってからAPを剥がしますので、手間が増えます。
価格は安くできる
大判プリンターやラミネーターの特質上、一回の印刷につきどうしてもフィルム等のロスが生じるため、小ロットの場合は割高となりますが、他のステッカーに比べると加工手間はかからず、ロットがある程度まとまれば安くなります。
ただし、ステッカーシートの方がやすくなる場合もあります。数枚のステッカーが1枚のシートにまとまっていてもよい場合はステッカーシートもご検討ください。
また、大量のステッカーを貼る場合は、貼付け手間もご考慮ください。ステッカーの端が断裁面になってフィルムと離型紙が同じ大きさのため、裏紙の剥がしはじめに手間取る場合があります。ステッカーシート等であれば、余白がつくので剥がしやすくなります。数枚であれば気にならないかもしれませんが、大量にはる場合はこうした手間も無視できなくなります。
イラストや文字の周りにフィルムがあります
カッティングステッカー等の場合は、文字やイラストの周囲にフィルムは「ない」ため、いわば貼り付け面を「地」として文字やイラストを「図」として直接描いたようなしあがりになります。
一方、プリントステッカーの場合は、文字やイラストの周囲のフィルムが「ある」ため、フィルムを「地」として文字やイラストが「図」として描かれているということです。
機械の筐体にステッカーを貼る場合、ロゴマーク等は筐体を「地」としてカッティングステッカーを貼った方がスキッとしますが、コーションラベル等はカッティングより、黄色等の目立つ色を「地」として文字が書かれている方が「注意喚起」の目的を果たします。
グラデーションや写真もステッカーに
プリンターで印刷しますので、グラデーション入りのイラスト等や写真等もステッカーにできます。
商品の写真をステッカーにして、ロゴマーク等とともに社用車に貼ることもできます。
プリンタの再現域内なら、色数は数万色以上
カッティングステッカーの場合、色数はフィルムメーカーの生産する色に限られますが、プリントステッカーならプリンタの色の再現域内にはなりますが、グラフィックスソフトで「CMYK」の割合を自由に組み合わせて色の設定が可能です。C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の4つを5%刻みで組み合わせるとしても20×20×20×20=16万色になります。
(グラフィックスソフトは最低0.01%刻みで色の設定が可能ですが、2%以下の違いは目視では識別困難になってきます。)
鮮やかな色も再現域を拡大
色数は無限といえますが、数色のインクを混ぜて色をつくるため、濁ってしまいます。絵の具をまぜて色をつくるのと同じです。
鮮やかな色は苦手でしたが、弊社では、鮮やかなオレンジのインクを使用できるプリンターを使用しますので、色の差再現域はかなり広がっています。パーソナルユーズのプリンターでは出せない鮮やかなオレンジも可能です。
DICやPantoneでの色指示にも対応
DICやPantone、その他、日塗工の見本帳やBUS車体色、マンセルブックも備えています。
鮮やかな色は苦手ですが、オレンジのインクを使えるプリンタを使用して、多くの色相で彩度は10〜12は出せます。10RP〜5R辺りの青よりの濃いピンク等、CMYの3色混合となる場合は彩度8〜10辺りになるようです。
こんな用途でお使いください。
車両ラッピング用
車両ラッピング用はプリント出力品になります。1枚のサイズは大きく、高さ1.3m×長さ5m以上になる場合もあります。「ステッカー」というより「出力品」です。
車両ラッピングでは、車両のサイドやフロント、リア、バンパー用に出力品を用意して車両のボディに貼っていきます。サイドであれば貼りながらドアノプ等の部分を切り抜いていきますし(複数台の場合はあらかじめ切り抜くこともあります)、バンパーは3次曲面に貼っていく、出力品が分割されている場合は図柄を合わせるなど、熟練の職人の腕が要求されます。
コスト重視の場合
コストを抑えられるのは、プリントステッカー(断裁)かステッカーシートになります。数十cm程度のステッカーを数枚の場合はプリントステッカー(断裁)が安くなります。数cm程度の大きさのステッカーを大量に作成する場合はステッカーシートの方が安くなります。
使用するフィルム
通常は白色の大判のフィルムに印刷します
プリント系のステッカーは通常、インクジェット用に製造されたフィルムに印刷して作成します。インクジェット用のフィルムはインクの付着性も考慮して製造されています。
カッティング用のフィルムでもインクが付着すればプリントステッカーに使用できます。背景が黄色のコーションラベルを作成する場合、白地のフィルムに背景の黄色も印刷するのではなく、黄色のカッティング用フィルムに文字等だけを印刷する等、裏技的に使っています。
汎用ベースフィルムで5種類
プリント系用の一般的なフィルムで次の5種類をご用意しています。詳しくは「材料と特性」や「汎用ベースフィルム」をご覧ください。
耐候性 | 接着力 | 易施工性 | 再剥離 | 曲面 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
プレミアム | 屋外約5〜6年 | 強粘着 | ◯ | ◯ | 3次 | |
ハイグレード | 屋外約5年 | 強粘着 | ◯ | △ | 2〜3次 | |
スタンダード | 屋外3〜5年 | 強粘着 | ◯ | ◯ | 2次 | |
エコノミー | 屋外約3年 | 強粘着 | × | × | 2次 | |
再剥離 | 屋外3〜5年 | 弱粘着 | × | ◎ | 2次 |
最適なフィルムを選択
用途等をお聞かせいただければ最も適したフィルムにて作成いたします。特にご指示がなければスタンダードで作成いたします。
こんなフィルムもあります
汎用ベースフィルムほか、次のようなフィルムもあります。詳しくは「各種フィルム」をご覧ください。
フィルム以外の材料
ラミネートフィルム
プリントステッカーは通常、印刷面を保護するため、透明のラミネートフィルムを前面に貼り付けます。UVカット材入りのツヤありとツヤ消しを常備しております。UVカットなしももちろんご利用いただけます。
特にご指示がなければ「ツヤあり・UVカット材入り」を使用いたします。
インク
プリント系ステッカーの材料には、フィルム、ラミネートフィルムのほか、インクがあります。インクは、大きく、溶剤系と水性系にわかれます。水性系はどちらかというと室内のポスター等の用途で使われることが多く、ステッカーの主力の粘着塩ビフィルムはほとんどが溶剤系インク用につくられているため、弊社では溶剤系インクを使用しています。